ITエンジニアのスキルを、自己申告ではない客観的な指標で可視化する

海外拠点における現地採用、国内における外国人採用の増加、そしてオフショア開発など、企業において、様々なバックグラウンドのITエンジニアと協同で プロジェクトを進めることが一般的になってきました。少子高齢化による労働人口の減少、人材不足が進む日本において、この流れは今後も加速するでしょう。
そして、これら人材確保を進める上で、大きな課題となるのが「どのようにしてこのようなエンジニアたちの ITスキルのレベルを把握するか?」ということです。自己申告によるスキルレベルは、国内エンジニアのスキル把握においても困難です。まして、文化背景の異なるエンジニアであれば、言葉のもつニュアンスが異なるため、そのギャップはさらに広がっていきます。また、業務で必要とされるITスキルは日々変化しており、最新の技術動向をキャッチアップ出来ているかも非常に重要です。
今回の特集では、様々なバックグラウンドのITエンジニアのスキルを客観的に可視化するためのアプローチとして、ITスキルアセスメントツール「GAIT」の活用方法をご紹介します。

Skill Balance
様々なバックグラウンドを持つITエンジニアのスキル

グローバル環境におけるエンジニアのスキル評価にGAITを導入

GAITは、日本語、英語そして中国語で提供されており、グローバル環境におけるITエンジニアのスキルの可視化にも利用することができます。言語は違っても、アセスメントの問題やフォーマットは共通であり、日本国内と同じように、7つの分野、22のカテゴリで総合的なスキルレベルをスコアとレーダーチャートで可視化することができます。

海外拠点の現地採用、国内の外国人採用、海外オフショア開発における共通課題

様々な背景をもつ多様な人材を活用するITプロジェクトは、コスト削減や幅広いリソースの確保など、たくさんのメリットがあります。しかし、その反面、採用したITエンジニアの自己申告のスキルと実際とのギャップが大きいことから、ITプロジェクトの生産性を低下させるなど共通の問題に直面することが多く、スキルを効率的に可視化できるソリューションへのニーズが高まっています。

現状のスキルレベルが正確にわからない

応募者の自己申告のスキルが、通常国内で想定しているスキルレベルと一致しないことがあり、正確なスキルが判らない、また最新の技術スキルを客観的な指標で把握したい。

スキルアセスメントに費用が掛かりすぎる

海外ITベンダーの資格試験は、セキュアな状態でのテスト環境が整備され、最新の問題が出題されるものの、1試験あたりのコストが高いことから、すべての技術者に受験をさせることが難しい。また、合否判断のための細かいスキル把握が困難であり、コストパフォーマンスのいいツールを導入したい。

社内のアセスメントツールの利用が難しい

社内独自のスキル評価テストは、新技術を広い分野でキャッチアップすることが難しい、多言語対応が難しい、インターネット受験や必ず本人が受験しなくてはならないセキュアな環境を用意をすることが困難など、様々な障壁があり、適切なアセスメントツールを用意したい。

全世界共通の指標でスキルを管理したい

すべてのITエンジニアを言語やロケーションにこだわらず、一律の共通指標で把握・評価し、会社の事業展開にあわせた人材育成や人材採用をおこなっていきたい。また、定期的にスキルアセスメントを実施し、社員に自律的にスキルアップの必要性を感じさせたい。

海外展開が急速に進むGAITの現在

GAITのようなフルスタックエンジニアの知識を客観的に測定するスキルアセスメントは、海外でも非常に注目されています。なかでも、日本企業の進出が活発なアジア圏では急速な伸びを見せています。GAIT海外展開プロジェクトを担当しているParit Chauhanが、GAITの海外展開の現状と今後についてご紹介します。

アセスメントで学生のITスキルを底上げ

GAIT海外展開について、もっとも急速なスピードで進むアジアでは、情報工学系大学でのGAITの活用が進められています。インド、ベトナム、インドネシアなど卒業後の就職に必要なスキルの習得や底上げを目的に、学校側が主導で学生に対してアセスメントを実施しています。アジア地域の学生の傾向として、仮想化やネットワーク、サーバ管理、セキュリティなど企業のIT部門で求められるインフラ周辺のITスキルの習得が遅れています。このような学生にスキルアセスメントテストを行なうことで、何を学ぶべきかが過不足なくわかります。これら大学の事例から、学生のITスキルの底上げにGAITが有効であることが判ります。

現地採用のITエンジニアのスキルの可視化

また、アジア圏に進出している日本企業での利用も進んでいます。採用時のスキル評価に、GAITのアセスメントが使われるようになりました。これまで現地採用スタッフのスキルと企業が望むITスキルのミスマッチにより ITプロジェクトの進捗が遅れてしまうことが 大きな課題でした。GAITによるアセスメントは、このような企業の課題を解決しました。いくつかの日本のお客様は、GAITのスコアによって、本社と現地の ITエンジニアのスキルを共通の指標で管理しています。

GAITは、1名からでも Web経由で手軽に受験することができますし、一般的な資格試験と比較して、非常に大きなコスト削減が可能であり、海外拠点に対する投資規模の最適化という観点からも、大きなメリットがあります。

2017年には、特に大きな市場が見込まれるインドに現地拠点を開設予定です。GAITをアジア圏において、現地のITエンジニアや学生と世界各国の企業を繋ぐ、重要な役割を担うサービスとして認知されるよう、育てていくのが現在の私のミッションです。

Parit Chauhan

Parit Chauhan
JTP株式会社
教育ソリューション事業部
GAITインターナショナル
プロジェクトマネージャ

グローバルでの利用を前提に設計されたインフラとサービス

GAITはサービス提供スタート時から、グローバル展開を前提に設計されていました。インフラおよびサービスとしてのGAITの特長を、設計と構築にプロジェクトリーダとして推進したJohan Backmanが紹介します。

マルチナショナルなアセスメントを統合管理する管理機能とインフラとしての高いスケーラビリティをクラウドで実現

GAITは、24時間いつでもどこからでもインターネット経由で利用できるサービスとして、グローバルでの利用を前提 に設計されています。現在、日英中の3ヶ国語で配信されていますが、どの言語のアセスメントでも、スコアを共通の 指標として活用できるように運用されています。

GAITは管理機能が使いやすくなっている、というのも、大きな特長の1つです。企業で社内向けにアセスメントを実施する場合、管理者からアセスメントとスコアを一元管理することができます。そのため、日本語・英語・中国語で実施されたアセスメントを、言語の垣根を越えて同じ指標で評価することが可能です。さらに、学生向けや採用時に大規模なアセスメントを実施する場合、管理者がバウチャーを一括で発行することができるため、効率的に運用することができます。

また、GAITのサービス基盤はAWSのクラウド上で構築されており、使用規模に応じてスケールアウトできるよう運用されていますので、一時的に大規模なアセスメントが実施されても、安定したサービス提供が可能です。

AWSを利用したGAIT構築事例の詳しい情報はこちら

Johan Backman

Johan Backman
JTP株式会社
ICTソリューション事業部
データマネジメントソリューション部

GAIT の今後と関連ソリューションの展開について

2012年10月よりスタートしたGAITは、この10月で満4年を迎えました。技術カバレージの広さ、最新技術を常にキャッチアップしている試験内容、コストパフォーマンスの良さ、そして導入の容易さで、おかげさまでたくさんの企業に導入されるようになりました。今後もITトレンドに合わせて問題内容を見直していき、常にエンジニアに「今」求められている技術をアセスメントできるよう改善努力を続けます。特にビッグデータ、IoTなどは、今後は特定の業界だけでなく、ビジネス全体で必要となるソリューションですので、どんどん試験内容に取り入れていきます。

2015年には、GAITに対応したe-Learningコースも発売を開始し、より学習しやすくなったとのお声をいただきました。さらに学習が進めやすいように、新しい公式問題集はデジタル版での提供を現在検討しています。

また、GAIT導入企業様からは、「GAITのスキルアセスメントで、技術力を測る面はとても充実したが、やはりエンジニアに求められるものは技術力だけではない」というお話も多く寄せられます。そのため、現在、個人の行動特性やヒューマンスキルを可視化するツールの提供や、タレントマネジメント・システムとの連携サービスの提供を予定しています。

JTPは、GAITのサービスを拡充するとともに、GAITと連動する人事施策や人材育成ソリューションの提供を通して、企業のさらなる IT活用や、エンジニアの育成と技術力向上を通した競争力強化に貢献したいと考えています。

田島 悠貴

田島 悠貴
JTP株式会社
執行役員
ソリューション事業本部
教育ソリューション事業部長

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